電田池彦のでんち入門 [1次電池とは]

電田池彦のでんち入門 [1次電池とは]

でんだ
電池は「化学電池」と「物理電池」に大別されており、光や熱などを電気エネルギーに変換する装置、例えば太陽光発電等は「物理電池」と言い、一般的に使用している乾電池やスマホの電池等は、化学反応を使って電気を生み出す「化学電池」に分類されているのだ。
さらに「化学電池」は、「一次電池」と「二次電池」と「燃料電池」に分かれているぞ。
今回は、皆の生活に密接に関係している、「一次電池」と「二次電池」について勉強していこう。

めぐお
わっ!急に始まりましたね・・・
えっと、ご紹介が遅れましたが、今回はなんと、あの
「マンガでわかる!ニッケル水素電池の正しい使い方」でお馴染みニッケル水素大学 電田池彦(でんだ いけひこ)准教授と共に勉強していきたいと思います。

1次電池の種類

めぐお
早速ですが一次電池と言うのは一体なんでしょうか?

でんだ
一度のみの使い切り電池を一次電池と言うんだ。
一番身近なのはコンビニやスーパーなどでも売られているアルカリ乾電池ではないかな。

めぐお
アルカリ乾電池は一次電池なんですね!
でも、アルカリ乾電池は充電できると聞いたことがありますが・・・

でんだ
これを見るんだ!

一次電池であるアルカリ電池を充電して液漏れを起こしてしまった電池と充電器

でんだ
アルカリ乾電池を充電すると液漏れや破裂の可能性がありとても危険だ!
充電器を破損してしまったら余計に高い買い物になるし、何より危険なので絶対にやめるんだ!

めぐお
恐いですね!
やっぱりちゃんと勉強して、正しく使わないと・・・

アルカリ電池

種別 単1、単2、単3、単4、単5、単6、角形9V、ボタン型(LR)
特徴 大きな電力を連続して必要とする機器に適しています。安定的にパワーがあり長持ち、自己放電が少なく、未使用時の長期保存に適しています。
値段 マンガン乾電池より高い
公称電圧 1.5V
主な機器 デジタルカメラ、CDラジカセ、強力ライト、ヘッドホンステレオ、モーターを使うおもちゃ、ストロボなど
使用上の注意 充電はできません。電気機器内部で液漏れが発生すると、端子部の腐食はもちろん、人体に触れることで皮膚を痛める可能性があります。

めぐお
乾電池はアルカリ電池の他にも種類があるのでしょうか?

でんだ
うむ。一次電池ではマンガン電池という種類の乾電池があるのだ。
アルカリ電池と同じような使い方ができるが、それぞれ特徴があるからしっかりと把握して使い分けよう。

マンガン電池

種別 単1、単2、単3、単4、角形9V
特徴 長期間で少しずつ電力を消費していく機器や、単発的に電力を使用する機器に適しています。(休み休み使うと電力が回復します)
値段 アルカリ電池より安い
公称電圧 1.5V
主な機器 リモコン、時計、懐中電灯、ガスコンロや石油ストーブの自動点火など
使用上の注意 充電はできません。使用中に電圧が下がることがあり、1.5Vを持続して出すことができなくなるため、大きな電力を連続して必要とする機器に使うとうまく動作しなくなることがあります。

めぐお
う~ん。。。アルカリ電池とマンガン電池の違いとは何でしょう?
イマイチ分からないのですが・・・

でんだ
説明しよう!
アルカリ電池とマンガン電池の違いは、それぞれの長所と短所を見るとよくわかるんだ!
まずは液漏れのリスクと電解液の安全性だ。

めぐお
液漏れと言えば、先日久しぶりに小型ラジオを使おうとしたら、ラジオにセットしていたアルカリ電池から白色の粉のようなものが吹き出していて、ラジオも壊れてしまっていました(涙)

でんだ
アルカリ電池に使われている電解液は腐食性の強いアルカリ性水酸化カリウムが使われている。
万が一使用している機器内で液漏れを起こすと端子が腐食して製品をダメにしてしまうんだ!
さらに、皮膚に触れると化学火傷を起こしたり、目に入れば失明の危険すらあるから、液漏れをさせないように注意する必要がある。
万が一皮膚や目についてしまった場合は、すぐに流水でしっかりと洗い流し、医療機関で診察してもらうんだ!
液漏れの原因と対策については後日別の記事で説明しよう!

めぐお
怖いですね!それならマンガン電池を使ったほうがいいですね!

でんだ
確かにマンガン電池の電解液はアルカリ電池の電解液に比べれば比較的安全で液漏れのリスクも低い。
しかし、マンガン電池の電解液も劇物に指定されているからやはり注意が必要なんだ!

めぐお
液漏れのリスクはマンガン電池のほうが低いけど、誤った使い方をすると同じように液漏れしたり破裂する恐れがあるんですね

でんだ
その通り!裏を返せば、正しく使えばどちらの電池も安心して使えるということだ!

めぐお
マンガン電池は休み休み使うと電力が少し回復すると書いてありますね。

でんだ
それもマンガン電池の長所なんだ。
休み休みしか使わないリモコンなどには最適の電池といえるぞ。

めぐお
比較的安全だし、電池も自然回復するんだったら、これからは全部マンガン電池を使えばいいですね!

でんだ
それは違うんだ。なぜならば、マンガン電池は安定して大きな電力を出し続けるのが苦手だからだ。
逆にアルカリ電池の長所だが、それは何と言ってもそのパワーと安定性だ。安定して大きな電力を出力し続けるのが得意なのだ!

めぐお
なるほど、大きな電力を連続して出力する製品といえば、デジタルカメラやモーターを使うおもちゃなどはアルカリ電池を使うといいんですね。

でんだ
その通り! 使用した状態で長期間放置したりしなければ、アルカリ電池は安定性、性能共に高く使いやすい電池なのだ。
それぞれの電池の特性を知り、正しく使う事が重要なのだよ。

リチウム電池[二酸化マンガンリチウム電池(CR)]

種別 コイン型、筒型(単1~単5)、ピン型
特徴 高電圧。放電末期(寿命)まで電圧降下が少ない。自己放電 が少ない。長寿命。マンガン乾電池の約10倍と電力容量が大きい。-40℃から85℃までの低温/高温環境でも使用可能)
公称電圧 3V
主な機器 コイン型 車の電子キー、時計、電卓、小型電子ゲーム、各種メモリーバックアップ
筒型 デジタルカメラ、ストロボ、各種メモリーバックアップ、各種メーター
ピン型 釣り用品(竿先ライト、発光ルアー、発光ダイオード式電気ウキ)
使用上の注意 充電はできません。コイン型など小さい電池は誤飲事故に注意してください。短絡(ショート)させないように注意してください。高温になる場所に放置しないでください。

めぐお
色々な形のリチウム電池が色々な機器に使われているんですね!
でも充電ができる携帯電話の電池やスマートフォンの電池もリチウム電池と思っていたけど違うのかな?

でんだ
リチウム電池と一口に言っても、充電できない一次電池と充電できる二次電池があるんだ!

めぐお
ということは、携帯電話やスマートフォンに使われている電池は、リチウム二次電池ですね!

でんだ
その通り!それらのリチウム二次電池は「リチウムイオン電池」や「リチウムポリマー電池」といい、出力も3.6v~と非常に高い出力が可能だ!
その辺りの詳細については次回の「二次電池」で学ぶことにして、ここでは「リチウム一次電池」は充電できないという事をしっかりと覚えておこう。

めぐお
リチウムと付く電池は全部充電できると思っていました!
ところで先ほどの表で出てきたリチウム電池ですが、[二酸化マンガンリチウム電池(CR)]とサブタイトルみたいなのがついていますね?

でんだ
いいところに気が付くじゃないか!実はリチウム一次電池の中にもいくつかの種類があるんだ。
今回紹介したのは最も普及している「二酸化マンガンリチウム電池(CR)」と呼ばれるリチウム電池だ。
その他にも「フッ化黒鉛リチウム電池(BR)」「塩化チオニルリチウム電池(ER)」「硫化鉄リチウム電池(FR)」「酸化銅リチウム電池(GR)」等という電池も存在しているんだ。

めぐお
わー なんだか頭がこんがらがってきました!

でんだ
確かに覚えるのは大変かもしれない!しかし、重要なのは(CR)や(FR)という()内のアルファベットなのだ!
これらの“アルファベット2文字”が頭文字として付く電池は充電できないリチウム電池だから覚えておこう!

めぐお
あ!そういえば、いつもジョギングで使っているLEDのアームバンドに入っているコイン電池はCR2032と書いてあります!
娘が使っているチェキの電池もCR2って書いた単3形電池より短い電池を使ってます!

でんだ
我々も良く知る単三電池や単四電池以外にも、実は色々な電池を使っていることが分かると思う。
しかし、同じような名前や形状でも充電出来たり出来なかったりするから注意が必要なんだ。

めぐお
気を付けます!
ところで、チェキで使っているリチウム電池は単3電池より短かったのですが、単3電池や単4電池で「リチウム電池」と書いてあるようなものは見たことがありません。
そのような電池は無いのかな?

でんだ
ふっふっふ・・・実はあるのだ!
FRという頭文字が付く「硫化鉄リチウム電池」は1.5v単三型リチウム電池や単四型リチウム電池として市販されており、アルカリ電池などと比べ高価ながら「ハイパワー」「長持ち」「軽量」「超長期保存が可能」「耐寒性が高い」として特定ユーザーの間では重宝されているんだ。

リチウム乾電池[硫化鉄リチウム電池(FR)]

種別 単3、単4
特徴 アルカリ電池に比べ30%以上軽量。超長期間の保管が可能。ハイパワー。自己放電が少ない。寒冷地に強い。
値段 アルカリ電池より高い
公称電圧 1.5V(初期電圧約1.7v~1.8v)
主な機器 デジタルカメラ、ストロボ、ラジコン、ミニ四駆、アマチュア無線、PC用マウス、寒冷地用機器
使用上の注意 充電はできません。短絡(ショート)させないように注意してください。リモコン等の省電力な機器では性能を十分に発揮できない場合があります。

めぐお
あれ?二酸化マンガンリチウム電池(CR)は公称電圧3vだったのに、このリチウム電池は1.5vですか??

でんだ
なかなかスルドイ指摘だ!
その他のリチウム一次電池の公称電圧もバラバラなのだ。
BR=3.0v
ER=3.6v
FR=1.5v
GR=1.5v
リチウム電池ひとつとってもこれだけ性質に違いがあるのだ。

めぐお
えーっと・・・
覚えきれません(汗)

酸化銀電池(SR)

種別 ボタン型(SR)
特徴 放電の末期まで電圧降下が極めて少ない。経年劣化が少なく長期保存に耐える。高いエネルギー密度を有しており、同型アルカリボタン電池の2倍近い容量がある。
酸化銀を用いるため価格は高くなる。
公称電圧 1.55V
主な機種 時計、補聴器、カメラ(露出計、電子シャッター)、電子体温計
使用上の注意 酸化銀電池を使用する機器にアルカリ電池を使用すると、寿命や電圧の違いにより、機器が正しく働かなくなるので注意が必要。現在も多くの酸化銀電池には水銀が使用されており、処分の際はボタン電池回収ボックスに入れることが望ましい。SR44、SR41等を使用する機器にLR44やLR41を使用すると機器の性能が充分発揮できない場合があります。

めぐお
またまた新しい電池が出てきましたね

でんだ
うむ。ボタン型やコイン型と呼ばれる電池でも様々な種類があるんだ

めぐお
ボタン型とコイン型は何が違うんですか?

でんだ
基本的には同じ形状だからどちらの呼び方でも正解だ。
ただ、厚みがあり直径が小さいものをボタン型、厚みが薄く直径が大きいものをコイン型と使い分ける場合もあるんだ。

めぐお
なるほど、使い分けてみたんですね。
それにしても同じコイン型やボタン型の電池でも「CR」で始まる二酸化マンガンリチウム電池や「LR」で始まるアルカリ電池、そして「SR」で始まる酸化銀電池があったりと、ややこしいですね・・・

でんだ
その通り! 形が同じだと、どの電池でも同じように使えそうだがそんなことはないんだ!
例えばLR44とSR44という電池は互換性があるが、推奨できるのはあくまで下位互換だ。

めぐお
下位互換???

でんだ
アルカリ電池であるLRよりも、酸化銀電池であるSRのほうが性能が良く上位に位置づけできるのだ。
つまり・・・

めぐお
あ!わかりました!
LRで問題なく使えている機器では、それより性能がいいSRは問題なく使用できるという意味ですね!

でんだ
YDK!エクセレント!
逆にSRで問題なく使用している機器をLR電池で使用すると機器の不具合につながる可能性があるのだ!
さて、次の電池で主な一次電池の紹介は最後になるぞ。

空気亜鉛電池(PR)

種別 ボタン型
特徴 正極材に空気を使用している為小型で軽量。電池の大きさに比較して容量が大きい。電池に貼ってあるテープを剥がすことで発電する。電池の寿命が長い。
公称電圧 1.4V
主な機種 補聴器、電子体温計
使用上の注意 低温に弱く、5度以下になると性能が著しく低下するが、その場合は温めると寿命は回復します。湿度は60%が最適であり、それ以上でもそれ以下でも性能が十分に発揮されません。高濃度の二酸化炭素に触れると寿命が低下する場合があります。使い始めの際はシールをはがして発電を開始するまで1分前後時間がかかります。

めぐお
この電池スゴイですね!
空気を使って発電!?

でんだ
正極側、つまりプラス極に貼ってあるシールを剥がすと、空気孔から空気を取り込んで発電を始めるんだ。

めぐお
シールを剥がして発電するなら、シールを貼れば発電しないで保存が可能になるという事ですか?

でんだ
一度シールを剥がしてしまうと再度シールで蓋をしても化学反応は続いてしまうから、寿命が若干伸びる程度だ。
補聴器などによく使われる電池だが、長期間使用しない時には気休め程度にシールを貼って保管しておくのも悪くはないぞ。

めぐお
軽いから補聴器には最適ですね。

でんだ
軽いだけではないぞ。
正極材が空気だからスペースがほとんど不要だ。その分負極材の亜鉛を多く入れられる為、その大きさの割に容量が大きいんだ。

めぐお
すごいですね!使わない理由が見当たらない!

でんだ
残念ながらそうとも言えないんだ。
使用上の注意にも書いてある通り、温度や湿度に凄く影響されるんだ。
やはり電池の長所や短所を把握して、その機器にあった最適な電池を使う事が大事なんだ。

1次電池の豆知識

めぐお
それでは電田(准)教授、電池の種類については色々と分かりましたが、その他に知っておくといい事を簡単に教えてください!

でんだ
よろしい。お教えしよう。
一次電池には「使用推奨期限」というものが定められている。

めぐお
あ!それ知っています!
定められた期限までに使わないといけないんですよね!?

でんだ
ブッブー。それは違うのだ!
「使用推奨期限」というのは、“その期限内に使用を開始する”ことを推奨する期限なんだ!

めぐお
そ、そうだったんですね・・・
でも、このアルカリ電池、使用推奨期限が「06-22」となっています。
つまり、6月の22日までに使用を開始するという意味ですか?

でんだ
ブッブッブー。それも違うのだ!
「使用推奨期限」は「月-年」で表示されているんだ。
この場合は6月22年、つまり2022年6月までに使用を開始して下さいという意味なんだ。

使用推奨期限とは


・使用推奨期限は「使用を開始する推奨期限」
・使用推奨期限の表記は「月-年」
・表記方法は「06-22」もしくは「06-2022」
・未使用保管で電池の性能が発揮できる期限

めぐお
教授、使い終わった電池は捨てちゃってもいいのでしょうか?

でんだ
うむ。アルカリ乾電池やマンガン乾電池、リチウム一次電池は一般ゴミとして安全に処分することができるので、住んでいる各自治体の指示に従って廃棄しよう。

めぐお
よく行く家電屋さんに電池のリサイクルボックスが置いてありますが、あれには何を入れればいいのでしょうか?

でんだ
リサイクルボックスは充電式電池、つまり二次電池を回収・リサイクルする為の箱なんだ。

めぐお
アルカリボタン電池(LR)や酸化銀電池(SR)、空気亜鉛電池(PR)はどのように処分すればいいのでしょうか?

でんだ
それらのボタン電池は水銀を含んでいるものが多い。水銀を含んだものを廃棄すると環境にとても悪い影響があるんだ。
だから、必ず専用リサイクルBOXにいれて処分する必要があるぞ!

めぐお
そんな箱見たことありません・・・

でんだ
一般社団法人電池工業会のホームページにある「ボタン電池回収協力店の検索」ページから最寄りの協力店が検索できるぞ。

めぐお
知りませんでした・・・
廃棄の時に注意することはありますか?

でんだ
廃棄の場合もリサイクルの場合も最も気を付けたいのが「ショート」させないようにすることだ。
容量が残っている電池のプラスとマイナスが触れると「ショート」して、液漏れや発火の原因となるから必ず絶縁処理をしてくれ!

めぐお
ぜつえんしょり??
なんだか難しそうですね・・・

でんだ
絶縁処理とは電気を通さないようにするという意味だ。
方法はとても簡単!プラス部分とマイナスプ分にテープを貼ればOKだ!
とっても簡単で安全に処分できるから必ずやってほしい!

使用済み1次電池の処分方法


・アルカリ乾電池/マンガン乾電池/リチウム一次電池は地方自治体の指示に従い廃棄処分を
・アルカリボタン電池(LR)/酸化銀電池(SR)/空気亜鉛電池(PR)はボタン電池回収缶へ
・廃棄及びリサイクル処分する前には必ず絶縁処理を

めぐお
(准)教授、それでは一次電池のまとめをお願いいたします。

でんだ
よろしい。おまとめしましょう。
一次電池を使う時には以下の事に気を付けてくれ!

1次電池のまとめ


・一次電池は絶対に充電しないで!
・製品と電池の能力に合わせて使い分けよう。
・二次電池の勉強もしよう。
・使用後は迅速且つ適切に処分しよう。